2013年9月30日月曜日

民法改正―契約のルールが百年ぶりに変わる

約款から見る日本民法とWebサービスについて






新書本であるが、読み通すのに1ヶ月もかかってしまった…。
しろうとから見れば、とんでもなく広い民法について、
「何となく」読んでしまったからでしょう。



しかし、読む視点を「日本に住む一生活者」から、
「Webサービスを提供する(予定の)事業者」に移せば、
優先して読む箇所が分かってきます。



そういわけで、今後Web上でサービス提供をする上で、
「知っておくべきところやろなぁ~」というところを、本書に従って列挙しておきます。



作ったWebサービスを、利用者と1人ずつ契約書を交わすなんて、
不可能なので、約款については、関心を持っておいた方がよいと思います。





AU契約そろそろ10年かー。びっくり / Matoken







Webサービスやる人間が読むべき箇所




  • 約款と「契約自由の原則」の関係(P178)
  • 市場メカニズムによる悪い約款の淘汰(P181)
  • 契約品質維持のための法の介入(P181)
  • 組み入れ要件(P181)
  • 不当条項規制(P185)
  • 約款の変更について(P185)



管理人は、法曹関係者でもなんでもないんで、
逐一解説することはできませんが、Webサービスを公開するときは、
ググって調べておこう。



あと、約款の説明の後に、日本民法が想定していない
サービス契約(P189)についても、著者の考え方が説明されているので、
このへんもメモっておいた方が良いかも。




【関連エントリ】

Webサービスをはじめるための法務特集





2013年9月26日木曜日

新装版 続・レモンをお金にかえる法 "インフレ→不況→景気回復"の巻

3分でわかるマクロ経済学のキホン(ケインズ経済学)







新装版 レモンをお金にかえる法 "経済学入門の巻"で主人公は、
「微視的な視点」で、レモネード屋さんを切り回し起業に成功しました。



しかし、経済は、すべて主人公の目に、直接見えることばかりではありません。
「巨視的な視点」で見ると、思いもよらないところで、経済が変動します。
経済学の言葉を使えば、前者はミクロ経済学、後者はマクロ経済学と言います。



レモネード
レモネード / Kentaro Ohno




レモンの不作が重大な経済危機をもたらす!




レモンのとびきりおいしい主人公の町で急にレモンが不作に見舞われました。
すると町の経済はどうなるでしょう?



原料の値上がり

製品価格の値上がり

値上がりした製品を買うための賃金の値上がり

物価と賃金の追いかけっこ

インフレーションの発生

中小企業の倒産

失業の増加

不況



と、負のスパイラルに突入していきます。




「学習」としては良い教科書





本書では、不況対策として、新しい仕事をつくったり、資金の貸し付けを行ったりして
経済が回復する
と説明されています。



今の日本に置き換えると、「ホンマにそれだけで大丈夫か?」
と思ったりしますが、ケインズ経済学のお手本としては、OKなのでしょう。
(訳者の佐和さんも、「あとがき」でケインズ主義的な経済政策は、
90年代以降の日本経済では有効でなかったと述べられているが)



他の考え方もいろいろあるとは思いますが、マクロ経済学を学習するときに
最初に読む本として、おススメできると思います。




【関連エントリ】


新装版 レモンをお金にかえる法 "経済学入門の巻"









2013年9月25日水曜日

英語で読む 池上彰の経済のニュースが面白いほど分かる本(中経出版)

池上流わかりやすい英語学習について






Webサイトを構築したり、プログラミングの学習をしていると、
日本語のサイトだけでは、調べきれない時があります。



英語のサイトには何か知りたいことがたくさん載ってそうなんですが、
いかんせん、高校を卒業して以来、英文をまともに見たことがない。



しかし、分からないところをいつまでも放置できない…。どうしよう(泣)
そんなときに図書館で出会ったのが、本書です。




実践リスニングNEWS / yto




和訳の付け方、コラムの構成などいろいろ工夫が!





本書をパラっとめくって目を引いたのが、読みやすさに対する工夫です。



【工夫その1】

数行ごとに英文に対する和訳がのっている。




【工夫その2】

経済ニュースで頻出する用語は赤字にして、単語の意味がすぐ分かるようになっている。




【工夫その3】

コラムや図解は全て日本語なので、英文を読むときのヒントになる。





【工夫その4】


「分かりやすさ」の象徴!池上彰先生のお顔が随所に登場(笑)







プログラミングを調べるときに必要な英語とは違いますが、
英文を見ても「拒否」しない頭にするためのトレーニングとして読んでみるのも、
いいんじゃないでしょうか?



【参考文献】


池上彰 [図解] 池上彰の 経済のニュースが面白いほどわかる本 (中経の文庫)








2013年9月24日火曜日

きょうの猫村さん 5巻 6巻

習字に茶道に、家政婦として確実にステップアップ



  



話がだんだんすすむにつれて、猫村さんの意外な趣味(?)が、
明らかになってきました。



【意外な趣味その1】

落語が好き(特にそば食いのモノマネが上手い)(5巻P62)



第6回全日本学生落語選手権「策伝大賞」 / Yuya Tamai



【意外な趣味その2】

ヤンキーの集会参加(ネコの習性からか夜にあつまるヤンキーに興味津々)(5巻P114)



toy / yuguch



【意外な趣味 その3】

習字(子どものときにすでに毛筆を教えてもらっていたらしい)(6巻P218)



Meiji Shrine: Hatsumode / Dick Thomas Johnson



【意外な趣味 その4】

茶道(今、お友だちのコマちゃんに誘われて検討中)(6巻P225)




IMGP9375 / yuko_ppp2501




犬神家の奉公人(?猫)として、確実にステップアップしているようです。



【関連エントリ】

きょうの猫村さん 3巻 4巻
きょうの猫村さん 1巻 2巻






2013年9月23日月曜日

お笑いジェンダー論

「お笑い」だけど「笑えない」話が多々…専業主婦優遇制度







先日、こんな「まとめ」を見ました。
専業主婦が全員、職場復帰すると経済効果が6兆円あるらしい



消費だけで、6兆円の効果があると試算されていますが、
専業主婦が全員フルタイムで働きだすと、さらに約2兆8千億円ほど「収入」が増えます。
何の「収入」かというと、税収(1兆3300億円)と社会保険料収入(1兆4400億円)です。


著者の瀬地山先生は、3兆円近いこのお金は、専業主婦優遇制度として
以下の3つの理由に基づいて撤廃することを考えていらっしゃいます。


  1. 制度が婚姻の継続を前提としている
  2. 相対的に所得の高い専業主婦層を優遇している
  3. 高齢社会に適合しない




big couple of woman and man in red / epSos.de





配偶者控除、国民年金3号被保険者って、やめにしませんか?






1.制度が婚姻の継続を前提としている


妻が継続して厚生年金や国民年金を受け取るためには、夫が死亡して
遺族年金として受け取る場合に限られている一方で、離婚率は33%に達している。
(ただし、2007年ごろの制度改正で、「離婚時の年金分割」ができるようになった)



2.相対的に所得の高い専業主婦層を優遇している


厚生年金(国民年金2号被保険者)に加入できない、
収入の低いの共働き層(国民年金1号被保険者)から、保険料を徴収して、
夫の年収が高い専業主婦(国民年金3号被保険者)に、「逆配分」している。



3.高齢社会に適合しない


「専業主婦優遇制度」は、政府が専業主婦を、
高齢社会の介護の担い手として打ち出していたが、2000年の介護保険制度の創設で、
高齢者は家族ではなく、社会全体で支える方針に転換している。





「優遇制度」とは「働きかた」や「子ども」の問題でもある






もちろん著者は「専業主婦はダメだ」と、いっているのではありません。
個々の夫婦やカップルが、内と外の役割分担を自分たちで決めること自体は、
尊重されるものでしょう。



ただ、その役割分担について、二重三重に政府が、税制や社会保険制度で
支援するのは、やめにしませんか?というのが、主張です。



「専業主婦優遇」の問題は、国民年金3号被保険者や所得税の配偶者控除の問題
だけにとどりません。この問題に付随する問題として、


  • 男性の家事・育児の参加問題
  • 子ども手当・児童手当の問題



などとも関連します。そしてさらには、世の中でよく言われる


  • 社畜の問題
  • ブラック企業の問題


にも行きつき、結局のところ、一番の根っこは、


  • 年功序列賃金
  • 終身雇用


の制度の問題に行きつきます。
そうそう、近頃「雇用特区」の話題が盛んですね。「雇用特区」が拡大すれば、
「専業主婦優遇制度」も変わっていくのではないでしょうか?



日本経済新聞 2013/7/26 特区で雇用規制緩和 政府検討、残業・解雇柔軟に
Joe's Labo 2013年09月21日 雇用特区でブラック企業が生きていけないわけ




※数値は本書に登場するものをそのまま使っています。
出版年が2001年ですが、今とそう大差はないと思います(機会があれば調べときます)



【関連エントリ】


日本成長戦略40歳定年制 経済と雇用の心配がなくなる日 その2
日本成長戦略40歳定年制 経済と雇用の心配がなくなる日









2013年9月18日水曜日

ブログじゃないWebサイト制作について WordPress特集 その4

より詳しい分類とか、サーバーどうするか?とか



どうしても自分でWebサイトを作成したいから、
Amazonで「WordPress」とキーワード検索をかけて、
引っかかった書籍を片っ端から読みまくっています。



あまり2冊とも全てを読み切ったわけではありませんが、
今まで読んだWordPress関連書籍と比べて、
いくつか違う特徴があるので、書き留めておきます。









WordPressデザインブック3.x対応








サイト作成にあたって、階層を2階層や3階層のまでなら、固定記事(page.php)
カテゴリー投稿(category.php)で間に合うでしょう。



しかし、4階層以上でより詳しくページを分類したいときは、
カスタム投稿タイプの記事をカスタムタクソノミー(taxonomy.php)で
投稿する必要があります。



基礎からのWordPress でも、コンテンツ分類のための、
カスタムタクソノミーを使った投稿について触れられています。
しかし本書では、詳細な作業手順が、ひとつひとつ示されています。




WordPress高速化&スマート運用必携ガイド








「『高速化』も何もまだサイトの開設すらしていないじゃないか!」
と突っ込みをいただきそうですが、サイトの開設前に読んでおいた方が
良い箇所もしっかりありました!



今はxamppをダウンロードして、ローカル開発環境で
Webサイトを構築していますが、公開するためのサーバーについて
そろそろ考えなければなりません。そのサーバーは、大きく3種類に分けられるらしい。

  1. 共用サーバー(レンタルサーバー)
  2. 専用サーバー
  3. VPS(Virtual Private Server)


このうち本書では3番目のVPSの特徴やメリットについて
1章分の紙幅を割いて書かれています。これからはじめてWebサイトを公開しよう
と思う人には良いきっかけ
になるかもしれません。




【関連エントリ】


ブログじゃないWebサイト制作について WordPress特集 その3
ブログじゃないWebサイト制作について WordPress特集 その2
ブログじゃないWebサイト制作について WordPress特集







2013年9月17日火曜日

新装版 レモンをお金にかえる法 "経済学入門の巻"

「所有と経営」を分離させるレモネード屋さん





"『レモンをお金にかえる法』という絵本のどこがどう素晴らしいのかというと、それはたった32ページの簡にして要を得たストーリーの中に、多くの経済用語が実に的確に盛り込まれていることなのです。"

(訳者解説より)



訳者の佐和隆光さんがおっしゃている通りだと思います。
しかしそれ以上に管理人が刮目したことは、
しっかりとした「出口戦略」が、子ども用の絵本に備わっていることです。




レモネード屋を売り飛ばすのは是か否か?





主人公がはじめるレモネード屋さんの「出口戦略」とは、

  • 「レモンを絞ってレモネードをつくること」
  • 「レモネード店の社長になること」


のどちらでもありません。最終的には、
「レモネード店を売却して資産を換金すること」です。



別の言い方をすると


  • 「丁稚(労働者)になること」
  • 「出世して手代・番頭(管理職)になること」



を目標・目的にするのではなく、
「企業家として信用を得、さらに大きな資産を得られるようにすること」が、
最終目標となっています。





121027 / yoco**




「所有と経営の分離」の優れた点





店(会社)を売却することを最終目標とする経済学教育なんて
「とんでもないと!」思われる方も、いらっしゃるかもしれません。
管理人は投資家でも経営者でも学者でもないので、良し悪しは論じられません。



ただし、この絵本にあるような「店(会社)の所有と経営を分離すること」を、
お勧めされている現役経営者の方も、いらっしゃるようです。



【参考文献】にあげた本の結論部分と合わせて読むと、
経済学の学習が、より一層楽しくなると思います。なぜ店(会社)の所有と経営を、
分離させた方が良いか
、実体験にもとづいて書かれています





【参考文献】


水永政志 現役経営者が教える ベンチャーファイナンス実践講義 ダイヤモンド社








2013年9月16日月曜日

きょうの猫村さん 3巻 4巻

激写!「家政婦・猫村ねこ」







相当デキる犬神家・家政婦の猫村ねこさん。
普段は、人間よりも鋭い観察眼で、冷静沈着に家事をこなしますが、
時折、猫らしいしぐさが現れます。



河原で、コロッケを食べた後、お昼寝したくなります(4巻P116)。



ねる・・・と見せかけてまたにゃめる / "KIUKO"




緊張したり切なくなると、体をなめたくなります(4巻P85)。



にゃめる  / "KIUKO"




 奉公先の飼い犬とも仲良しです(3巻P222)




DSC_0658 / くー




気合いを入れるときは、爪をとぎます(3巻P88)。



001_MG_4925_(024) / gym.king




 話がどーのというよりも、鉛筆書きのタッチは、ほのぼのして 何回見ても見飽きません。
この調子で5巻6巻も読もうっと。



【関連エントリ】



きょうの猫村さん1巻 2巻






2013年9月11日水曜日

ユーザ中心ウェブサイト戦略 仮説検証アプローチによるユーザビリティサイエンスの戦略

どうすれば人に使ってもらうWebサイトが作れるか?







管理人が本書を知るきっかけとなったのは、こちらのブログ記事です。
思わず「うんうん」とうなずいてしました…。



Webサイトを作っていると、作る方に夢中になってしまい、
つい独りよがりなってしまうんですよね…



IDEA*IDEAの管理人である田口さんが運営している、ドットインストール
管理人が今、作っているWebサイトでは、天と地ほどに差はあります。



しかし、天と地ほどの開きがあるうちに、周りの意見を取り込んで、
ニーズに応じたサイトづくりをしないと…。
誰にも見向きもされないWebサイトはやっぱりイヤですからね~。






ユーザーのニーズをひっくり返すのは不可能





もちろん「つくるのが趣味!!!」という人も、いらっしゃると思います。
そういった方は、この本を読むのは不要でしょう。しかし「人に使ってもらうものを作りたい」
と考える人であるならば、本書は必読
でしょう。



確かにいくら使ってもらいたいからといって、
人に意見を聴いて回ったり、手直しを繰り返すのは面倒な話です。



しかし、Webメディアのユーザーはほとんどが
「自分が見たいと思ったものしか見ない」(P252)のも厳然たる事実です。




来たれ!ヤル気のある初心者





本書は、


  • 「友人知人でいいから」
  • 「5分でいいから」
  • 「簡易でいいから」


とあの手、この手でWebサイトのユーザビリティテストの有効性を説いています。



なおかつ、ただ理論を説くだけでなく、そのテストの方法について、
事細かく解説してくれているので、「ヤル気のある初心者」にとっては
大変、懇切丁寧な構成になっていると思います。



ただし実践するためには2~3回読めばいいというものではなく、
繰り返し読み返さねばならないでしょう。




【参考文献】


トム・ケリー
発想する会社! ― 世界最高のデザイン・ファームIDEOに学ぶイノベーションの技法
早川書房