2013年4月12日金曜日

環境危機をあおってはいけない 地球環境のホントの実態

費用便益の問題に応用できる環境問題






手に取ってみればわかるが、ずっしりとくる本です。
670ページもあり、内容もびっしり詰め込まれています。



地球環境に関する著者の主張を一言で言うと、
「地球環境は思っているほど悪くはないよ。決して十分ではないけど」
といったところでしょう。





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現在進行中、地球環境のトレンドは・・・





「地球環境は思っているほど悪くはないよ。決して十分ではないけど」
具体例は、第3章以降で、事細かにあげられて言います。



  • 人口
  • 食糧
  • 水資源
  • エネルギー資源
  • 空気
  • 鉱物



これれは国連やWHO(世界保健機関)、IMF(国際通貨基金)などの、
公式な一次データにもとづいて、説明されています。




環境も時間もおカネも「稀少な資源」





何せ長い本です。著書であるビヨン・ロンボルグは、本書を読みやすくするために、
第1章で環境保護論を論じる際の、ダメな議論の特徴を述べています。


  • 「地球環境は悪くなっていっている」という根拠のない確信
  • その確信以外の確信はすべて「悪」という考え方



で、ロンボルグがおススメする議論の仕方は、次のとおりです。



  • 統計と言っても2~3年分だけではなく、数十年・数百年のスパンをもって根拠とする
  • 費用便益の分析を行い、社会全体でプラスになっているどうかを検証する
  • 環境問題だけでなく、政治・教育・貧困などの他分野も視野に入れて費用分析を行う



要するに、経済学でいうところの「稀少性」「トレードオフ」の考え方に基づいて、
議論してくださいね、ということです。確かに地球環境も「稀少な資源」には
違いありませんが、人間の時間やおカネもまた「稀少な資源」です。



2つの「稀少な資源」の費用対効果を考えましょうというのが、本書の主旨です。
第1章だけでも読んでおくことをおすすめします。この考え方は、日常生活でも
きっと使えるはず。訳者の山形浩生さんが、好きそうなネタですなぁ~。




【関連エントリ】


訳者解説 新教養主義宣言リターンズ





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