2013年1月29日火曜日

今週の日経ビジネス 2013年1月28日号

「ネット化する」地球人はサイヤ人を超えるか(笑)



今週の日経ビジネス 2013年1月28日号



最近は、「今週の○○○」シリーズは、週刊ダイヤモンドか、
週刊東洋経済から取り上げることが多かったのですが、
今週は日経ビジネスについて感想文を、書いてみようかと思います。



日経ビジネス 2013年1月28日号に関して、
中央大学・理工学部の竹内先生のつぶやきが、twitterのタイムライン上で目に入って、
読んでみたら、なかなか面白そうだったからです。



検索サービスに追加された"Knowledge Graph"




最近、「ぐぐっている」と、検索結果の表示が、変わるようになったことに気がつきました。
どうやら、昨年末あたりから、Googleの検索サービスに追加されたらしいです。



例えば、「東京スカイツリー」で検索をすれば、画像や住所、概要などが、
このように表示されます↓(はじめはWikipediaのサービスかと思った)



東京スカイツリー検索結果




Googleの検索担当上級副社長、アミット・シンガル氏の発言を読むと、
"Knowledge Graph"機能の意図がよく分かります。



"(より的確な検索結果の)究極のゴールは人びとの完璧なアシスタントになること。完璧なAI(人工知能システム)を築き、人がどのように考え、動き、判断するのかを理解しなければ実現できない"

(P28 カッコ内は管理人が推測して挿入)


以前、何かの本か雑誌でGoogleのミッションは、「この世の知識地図を作ることである」
読んだことがあります。"Knowledge Graph"は、まさにその通りのことをしている感じです。



ドラゴンボールのサイヤ人? "Project Grass"




昔、漫画・ドラゴンボールで、地球を征服しにきたサイヤ人たちは、
片目にへんちくりんなグラスをかけていました。彼らはそれを「スカウター」と呼び、
人間の「戦闘力」を計測して、グラスに表示させていました。



Googleが開発している "Project Grass"は、「戦闘力」の計測はできないようですが、
使用している人間の意図していることを、一瞬で表示させることができるようです。







本誌でも言及されていますが、近い将来、次のようなことが起こりそうです。


  1. コンピューターへの命令はタッチスクリーンではなく、音声入力が主力になる
  2. 人間のコンシュルジュ(執事)はコンピューターが行うようになる
  3. 従って、情報に対する意味付け意味の構造化が、重要度がますます高まる


3は、セマンティックWebとか、メタデータ技術に関することなんでしょうが、
なんせ「目に見えにくい」ものですから、管理人は、気の利いた説明ができません。



【参考文献】にあげた本を一度借りて読んでみましたが、
見慣れない横文字を連発されて、期限内に読み切ることができませんでした。
もう一度借りて読んでみます…(泣)




【関連エントリ】


集合知プログラミング



【参考文献】


鳥山 明 DRAGON BALL(全42巻セット) (ジャンプコミックス)DRAGON BALL(全42巻セット) (ジャンプコミックス)


DRAGON BALL(全42巻セット) (ジャンプコミックス)



曽根原登 赤埴淳一 岸上順一 メタデータ技術とセマンティックウェブメタデータ技術とセマンティックウェブ 東京電機大学出版局


メタデータ技術とセマンティックウェブ



2013年1月28日月曜日

国家は破綻する 金融危機の800年

「今回は違うシンドローム」について



国家は破綻する 金融危機の800年




今、高等学校で行われている日本史の授業は、どの時代から始まっているのか知りません。
管理人(1970年代半ば生れ)の場合、今の長野県あたりに生息した
「ナウマン象」から、日本史は始まったような気がします。



しかし、そこからはじめると、日本史は、近代で終わってしまうことになります。
管理人にとっての日本史は、日露戦争と、その後の「日比谷焼打ち事件」あたりで止まっています。



それ以降の現代への歴史認識(高度成長期ぐらいまで)は、
20~30代半ばまで、全くもって無知の状態でした。



仕方がないので、「けっこういい年」になってから、自分で本を探して読んだりしてます。
そのせいか、文部科学省お墨付きである、検定教科書寄りの歴史観を身につけているか
どうかは、極めて怪しいかと(笑)。





現代の不換紙幣

USdollar/アメリカドル / amo_designare




現代史のおさらいとしてどうぞ




そういうわけで、第1次世界大戦や関東大震災以降の知識は、さっぱり空白だったのですが、


  • 1930年前後の世界恐慌や昭和恐慌
  • 太平洋戦争のための統制経済
  • 戦後のハイパーインフレーション


には、前々から気になっていました。
一応、教科書にも言及はされているし、今、自分が住んでいる世界と、
非常に近い気がしたからです(縄文時代のナウマン象や、弥生時代の石包丁よりは)



本書では巻末資料として、世界各国の銀行危機の概要が、掲載されています。
この中でご多分にもれず、日本で起こった銀行危機についても、しっかり掲載されています。
明治維新から現代まで、6回の銀行危機について、具体的かつ簡潔に触れられています。



1930年前後の昭和恐慌についても、述べられていますので、
大学受験で日本史の科目を取られる受験生の方は、そこだけでも目を通しておくと、
いいじゃないかなぁ。



あと戦後のハイパーインフレーションの状況を簡潔に知りたい方は、
P186の「第7章国内債務とデフォルトに関する標準的な項目」のところで、まとめられています。



常にそこにある金融危機




管理人は、冒頭に日本史のことを述べてきたように、本書は、過去の歴史のことのみを
述べているのかと言うと、そうではありません。本書のキーワードは、これからも起こりうる
「今回は違うシンドローム」です。




本書は、経験値のUPや金融工学の発達、規制の整備など、
「それは過去の遺物だ。もう○○○のようなことは起こらない」という気持ちに、
警告を発しています。



P413の「第17章危機の早期警戒システム、卒業、政策対応、人間の弱点をめぐる考察」で、
本書の要約に加えて、いつでも起こりうる金融危機の兆候が、示されています。
あと、管理人が個人的にあり得るかもと思ったのは、以下の引用文にある「預金封鎖」です。



直接的には、1970年代のインドで起こったことを述べているのですが、
対GDPの公的債務比率が今よりも少なかった戦後の日本でも、
同じようなことを起こしているのではないかと、感じたからです。


"政府は国民に銀行への預金を強要し、他の選択肢をほとんど、あるいは全く与えない。次に預金準備率などの手段を使い、銀行に対する政府の債務を膨らませる。こうして政府が債務の一部をきわめて低い金利で調達できる状況が作りだされる。このように、金融抑圧は一種の徴税手段となっている。国民は、他に安全な貯蓄手段をほとんど持たないため、やむなく銀行に預金する。そこで政府は、その資金の政府の貸し出しを銀行に強制する規則や規制案を成立させ、公的債務に充当する"

(P225 第10章銀行危機)



【参考文献】


池上彰 そうだったのか! 現代史 (そうだったのか! シリーズ) (集英社文庫)そうだったのか! 現代史 (そうだったのか! シリーズ) (集英社文庫)



そうだったのか! 現代史 (そうだったのか! シリーズ) (集英社文庫)






2013年1月27日日曜日

オークション理論の基礎 ゲーム理論と情報科学の最先端領域

日常生活で活躍するオークション


オークション理論の基礎 ゲーム理論と情報科学の最先端領域




映画・「男はつらいよ」シリーズで、寅さんこと、車寅次郎が、縁日の出し物として、
「バナナの叩き売り」をしているシーンがあります。



寅さんの口上にのせられた見物人は、最初につけられたバナナの価格を、
どんどん下げていきます。そして十分に下がったところで、寅さんが周りを見回して、
ストップをかけます。その時点で、バナナの価格はその最も低い価格で落札されます。



邦画が好きな人にとっては、おなじみのシーンですが、このシーンをミクロ経済学風に説明すると、
寅さんは、「オランダ型」と言われるオークションを行っている、ということになります。





バナナの叩き売り

バナナのたたき売り / iyoupapa




バーゲンセールにみるオークション




このオランダ型オークションには、次の2つの特徴があります。


  1. 主催者は非常に高い付け値からスタートし、ある買い手がストップと言うまで付け値を下げる
  2. ストップと言った入札者がその時点での付け値を落札する


冒頭で紹介した、オランダ型オークションには、「バナナの叩き売り」以外にも、
百貨店やスーパーで見られる、衣料品のバーゲンセールがあげられます。



いわゆる、冬と夏の「クリアランス」の前には、衣料品は色・サイズとも豊富にそろっていて
定価販売がされています。しかし、クリアランスに入り、時間が経過するにつれ、
1割引き、2割引、3割引きと価格が、引き下げられていきます。



このとき色やサイズは必ずしも自分の欲しいものが残っていません。
この状況は、一種のオランダ型オークションと考えることができます。



ちなみに、価格を下げるのではなく、
価格を競り上げていくオークションのことを、英国型オークションと言います。



オークションの事例が豊富




実は、この本を読む前にもオークション理論に関する本を読みました。
ですが、その本は理論の証明に紙幅がさかれているため、
管理人にとって見慣れない数式が多く、なかなかオークション理論について、
理解が進まず、難儀していました。



そんなとき、本書の存在を知り、読み進めていると、
オークション理論について数式だけでなく、日常で使われている具体例
と合わせて説明されているので、非常に興味深く、読み進めることができました。



冒頭であげた寅さんの「バナナの叩き売り」の例は、管理人が独自に考えましたが、
衣料品のバーゲンセールの例は、本書から引用しました(P81)。その他にも、


  • チキンゲーム→崖に向かって走っているときにどちらが先にストップするか?
  • シグナリング→大学に進学する理由
  • セントペテルブルクスの逆説→期待値が無限大でも「フツー」の人は賭けに参加しない


これらは、日常的に起こりうる事象で、数式でどういう結果になるか、説明できます。
ですが、本書ではその数式を飛ばしても、どんな結果になるか、丁寧に説明されています。



数学嫌いの人でも読めるような構成になっていますが、オークション理論について理解を
深めたい人は、積分についての予備知識を学習しておくことをおすすめします。



【関連エントリ】


初心者が学ぶゲーム理論
eBayオークション戦略 究極のインターネットオークション戦略


【参考文献】



畑村洋太郎 直観でわかる微分積分直観でわかる微分積分 岩波書店



直観でわかる微分積分




坂井豊貴 マーケットデザイン入門―オークションとマッチングの経済学マーケットデザイン入門―オークションとマッチングの経済学 ミネルヴァ書房



マーケットデザイン入門―オークションとマッチングの経済学


2013年1月26日土曜日

半導体工場のすべて 設備・材料・プロセスから復活の処方箋まで

この世の「富」がつまった半導体



半導体工場のすべて 設備・材料・プロセスから復活の処方箋まで



管理人は普段、twitterで中央大学・理工学部の竹内健先生のつぶやきをフォローしています。
そのつぶやきを見ていると、毎日のように、半導体半導体メーカーのことが触れられています。



個人的には、半導体関連の産業で働いたことはありませんので、何か特別な思い入れが、
あるわけではありません。どちらかというと、ルネサスエレクトロニクスエルピーダメモリ
ことで、騒がれている半導体メーカーが、野次馬根性で気になったので、本書を読んでみました。




半導体

Dynamic Random Access Memory / Dick Thomas Johnson





Mr.工場長が紹介する「富」のすべて




著者は、東京大学工学部物理工学科を卒業後、日本電気(株)
半導体関係業務に従事し、半導体事業グループの統括部長、主席技師長を
歴任されています。いうなれば、日本の半導体関連産業における、「Mr.工場長」です。



それだけに、誰の目にも入る半導体の工場建物のことから、
微細な埃やシリコンの元素のことまで、まさしく「半導体工場のすべて」が紹介されています。



管理人は、本書を2時間ぐらいで読みましたが、全文を読んでいるわけではありません。
まともに読むと、数時間やそこらで読み終わることはない、と思います(苦笑)。



全部読んだのは、見出しぐらいで、読んだというよりも「見た」という表現の方が適当です。
ウェーハの熱処理や配線の象嵌細工技術など、記憶に残るかどうかも怪しいものですが、
それでも「頑張って」読みました。




知恵こそこの世の「富」




部分的には分からないことが、たくさんありましたが、全体的には、読んで良かったと思います。
(本当は半導体の仕組みとかを、子どもに説明できるぐらい読めたらいいのだが、
そのレベルに達するには、理工系の大学に入学しないといけないだろう(泣))



なぜなら、半導体製品や工場も、もちろんそうですが、製造システムや
近頃よく報じられている、半導体産業の凋落まで含めて、
半導体には「国の富」が集積されていることが、よく分かったからです。



半導体には原材料の選定、微小化技術、関連法規の徹底、資源のリサイクル活用など、
「人間の知恵」が、見事に結集されています。個々の製品が売れるかどうかは別にしても、
このような技術の粋が、この世の中に存在していることを知っただけでも、
とてもトクした気分になれます。



ちなみに、「それで半導体って何するものなの?」という方には、【参考文献】にあげた本を
おすすめします。もちろん本書でも、非常に丁寧に説明がなされてますが、【参考文献】の
説明の方が、「ざっくり感」があり、人によってはこちらのほうが、良いかもしれません。



【関連エントリ】


デフレーション
プロセッサを支える技術 果てしなくスピードを追求する世界



【参考文献】


竹内 健 世界で勝負する仕事術 最先端ITに挑むエンジニアの激走記 (幻冬舎新書)世界で勝負する仕事術 最先端ITに挑むエンジニアの激走記 (幻冬舎新書)



世界で勝負する仕事術 最先端ITに挑むエンジニアの激走記 (幻冬舎新書)






2013年1月24日木曜日

ネット帝国主義と日本の敗北 搾取されるカネと文化

コンテンツの「お代」の回収方法について


ネット帝国主義と日本の敗北 搾取されるカネと文化



私たちが、いわゆる「ネットを楽しむ」という行為には、
次の3つのレイヤー(層)が重なり合うことで、その行為が完成します。


  1. コンテンツレイヤー(新聞・音楽・動画)
  2. プラットフォームレイヤー(検索サイト・動画投稿サイト)
  3. インフラレイヤー(ケーブルテレビ・プロバイダー)


近年、インフラレイヤーに光ファイバー網の整備や、
プラットフォームレイヤーの検索技術や広告技術の進歩によって、
私たちが、「ネットを楽しむ」という行為は、「(ほとんど)タダ」という考え方が、定着しています。




光ファイバー網

Webbed / puliarf




「搾取」について




いわゆる「技術進歩」の恩恵を受けて、3つのレイヤーの中で、
情報流通の「独占」をしたのが、2層目のプラットフォームレイヤーです。
特に、広告収入の分野では、Googleの1人勝ちの状況になっています(P39)



Googleの検索技術は、私たちが調べたい情報や知識を瞬時に表示します。
昔は、「この情報は新聞で」、「あの情報はテレビで」といった具合に、
縦割りごとに並んでいた情報が、並んでいました。



しかし、Googleの検索ロボットは、縦割りの垣根を破って、Google独自の「検索結果」を
流通させることに成功しました。そして、あまりの効率のよさに、Googleは、
既存の「縦割りメディア」から、ユーザーの注目とともに、広告収入のシェアも奪っていきました。



このとき発生した問題は、「縦割りメディア」の持っていた「コンテンツの社会的価値」に
ついて誰が、対価を支払うのか?ということです。



つまり、著者は、コンテンツの「作り手」に対して、その見返りが十分に回らず、
プラットフォームレイヤーのみに、超過利潤がまわることを危惧しています。



そこから、アメリカ以外のジャーナリズムや文化が衰退してしまうのではないか?
という主張を展開されています。




コンテンツの「お代」は誰が捻出するか




かといって「縦割りメディア」が、そのまますなわち、「社会的価値」にはなりません。
著者は、安易に補助金や法的保護を持ち出すことについては賛成する気は、
さらさらなさそうです。



"この二つの分野(ジャーナリズムと文化)で政府の直接的な関与が大きくなっても、ロクなことがないからです。例えば、ドイツでジャーナリズムの救済策としてフランスのような直接的な政府支出が議論さえされていないのは、ナチス時代の政府によるメディア操作という苦い経験を踏まえたものだそうです"
(P183「第5章日本は大丈夫か」)


本書の問題意識を、かいつまんでいうと、コンテンツの「お代」はどうするのか?
ということです。一つの方向性として、当ブログでも、以前紹介したRie fuさんのように
中小のコンテンツレイヤーは、コピーのしようがない「生」の情報流通で、
自助努力をしていくことが、考えられます。



その他、コンテンツの「お代」の回収については、第5章にいくつか方策が、挙げられています。
でも、それは読んでのお楽しみということで。




【関連エントリ】


コモンズ ネット上の所有権強化は技術革新を殺す
今週の週刊ダイヤモンド 2013年1月12日号
「ネットの自由」VS著作権 TPPは終わりの始まりなのか













2013年1月23日水曜日

Webサービスのつくり方 「新しい」を生み出すための33のエッセイ

Webサービスを気軽にはじめたい人のための本



Webサービスのつくり方 「新しい」を生み出すための33のエッセイ



「自分でもWebサービスを作りたい!」と思ってたら、この本の存在を知りました。
(誰かに勧めてもらったか、アマゾンの検索でたまたま目に入ったかは忘れた)。



目次を見ると、本書は次のように構成になっています。
まさしく、Webサービスを自分で作って、リリースするための手順通りだと思います。
(私はそんなこともよく知らない、どシロウトです(泣))。


  • 第1章 心構えと下準備
  • 第2章 企画
  • 第3章 設計
  • 第4章 開発
  • 第5章 プロモーションと運用


Webサービス

All Video Sites - The List / HH-Michael




お好きなところからどうぞ




ただ、サブタイトルが、「33のエッセイ」となっていますので、さほど、
論理的につながっている文章ではありません。
(もちろん、途中で紹介されている、Perl(プログラミング言語)のコードなどは、
論理的だと思いますが)



上記の目次を大枠として、著者の和田裕介(ゆーすけべー)さんが、
Webサービスの開発をしている際に、心に浮かんだことを、書き連ねたという感じです。
従って、読んでいると「ぷッ!」と吹き出したくなるようなことが、多かったです(笑)


  • ぐだぐだ言ってないでコードを書けよ、ハゲ!(P2)
  • 全裸で学ぶMVC事始め(P118)
  • イカ娘でTwtterOAuth認証(P147)



Webサービスに対する考え方は一級品!




ゆーすけべーさんは、いくつかサイトを運営されていて、
中には、アクセスが、月間1,000万PV(プレビュー)にも及ぶサイトも運営されているそうです。
(ちなみに当ブログは、2013年1月現在で、月間2,000PVなので、「大物ぶり」がよく分かります)



そのせいか、「Webアプリのパフォーマンスアップ作戦」(P178)など
にあるように自サイトへのトラフィックが、突然増加したときに、


  • バックエンド:アプリ部分のリクエストを処理する際の性能
  • フロントエンド:アプリ部分の以外のページ全体を構成するパーツ群の配信性能
  • クライアント:ページ全体を描画する際にクライアントにどれだけ負荷をかけるかの性能


など、問題点を切り分ける方法は、今後個人的にも大いに参考になりそうです。
その他、すでにプログラミングに慣れている人には、「軽い」読み物として、
置いておくことができると思います。




【関連エントリ】


Webサービスを始めるためのPHP特集



【参考文献】


小森裕介
「プロになるためのWeb技術入門」 ――なぜ、あなたはWebシステムを開発できないのか「プロになるためのWeb技術入門」 ――なぜ、あなたはWebシステムを開発できないのか
技術評論社


「プロになるためのWeb技術入門」 ――なぜ、あなたはWebシステムを開発できないのか






2013年1月22日火曜日

今週の週刊東洋経済 2013年1月26日号

公的年金問題の裏返し・65歳定年特集



今週の週刊東洋経済 2013年1月26日号



今年、4月から65歳までの雇用確保が、全ての企業に義務化されるらしいです。
企業は、原則希望者全員に対して、


  1. 再雇用
  2. 定年引き上げ
  3. 定年廃止


のいずれかの措置を、取らなければならないそうです(高年齢者雇用安定法の改正)
P37のリード文にあるように、定年引き上げの義務の背景には、
「老齢年金の支給開始年齢の引き上げ」問題があります。



といっても、なぜ「老齢年金の支給開始年齢の引き上げ」をするのかは、
今さら述べても仕方がないので、この記事では、別の観点から感想を述べたいと思います。




種

柿の種 梅しそ 手にとってみた / uka0310




「片手落ちの視点」と「強制参加のイス取りゲーム」




毎週、経済誌の特集をウォッチングしていると、さまざまなことを感じます。
その中で、特に強く感じたことは、「片手落ちの視点」「強制参加のイス取りゲーム」
という印象です。



そもそも、人間の社会が発展してきたコツは、いまあるモノやサービスに
どれぐらいの付加価値をつけてきたかということにあります。



田んぼや畑に蒔く種もみと農業の話であれば、来年の収穫時になったら、
元の種もみに、「いくらプラスアルファして取り戻せるか?」というようなことです。



そのためには、今ある資源(資本や労働)を活用し、将来には資本への投資や、
労働への所得分配する、というサイクルが必要となります。
(このサイクルを「経済成長」とも言う)




誌面をざっと一読すると、どうもそういった「サイクル性」に欠けているように感じます。
パラパラと内容をめくってみると、


  • 「現役の賃金切り下げで世代間対立の助長も」(P38)
  • 「財政のツケを若者に負わせるのは不合理だ」(P71)
  • 「コスト削減のツールに高齢者が利用されている」(P73)


全員が、「毎年減らされることが確実のイス取りゲーム」に、
強制参加させられている、という印象がぬぐえません。



「そうだ葉っぱを売ろう!」




手前ミソですが、先日、そうだ葉っぱを売ろう! 過疎の町、どん底からの再生
という本の感想文を書きました。おかげさまでこの記事について、各所から、
いくつかのおほめの言葉をいただきました。



個人的には、「やるやん!オレ」と思いたいところですが(笑)、
多分、反響をいただけたのは、文章の内容が「明るい経済成長」につながる話
だったためである、と考えています。



同じ感想文を書くなら、「ゼロサム・ゲーム」か「マイナスサム・ゲーム」の本の感想文ではなく、
「プラスサム・ゲーム」になるような本の感想文を書きたいものです。




【関連エントリ】


そうだ葉っぱを売ろう! 過疎の町、どん底からの再生









2013年1月21日月曜日

日本人がグローバル資本主義生き抜くための経済学入門 もう代案はありません

すべての人のためのサバイバル教養書



日本人がグローバル資本主義生き抜くための経済学入門  もう代案はありません



本書の著者は、藤沢数希さんです。
ブログ・金融日記や、外資系金融の終わり―年収5000万円トレーダーの悩ましき日々と同じく
大変読み易く、タイトル通り、広い読者層を対象にしていると思います。



藤沢さんが、本書でよりどころとしている、マクロ経済学の知見は、
実際に仕事をしたり生活をしていく上で、大変役に立つものです。
その分析の鋭さと、文章の分かりやすさは、私たちの生活を、
より興味深いものへと、引き込んでくれるでしょう。



通常、マクロ経済学の初学者用のテキストは、400~500ページ分ぐらいの記述が、
なされていますが、本書の内容は、現代のテーマに即しつつ、200ページちょっとで収まっています。



ちなみに、経済学のテキストだとお値段は、4,000円~5,000円ぐらいするものですが、
本書のお値段は1,680円で、お財布にとてもやさしいのも、特徴です(笑)。




グローバル化

Earth / tonynetone



経済学の講義を取っている大学1~2年生の方へ




大学生の方は、どの学部に在籍していても、ひょっとしたら一般教養科目として、
マクロ経済学の講義を、選択していらっしゃるかもしれません。



本書は、マクロ経済学のテキスト一冊分の内容が網羅されています。
もし、マクロ経済学の講義で単位を落としそうになったら、
アマゾンあたりで、この本を取り寄せてみてください。



レポートや試験対策として、丸写しか丸暗記するだけで、
「良」または「B」ぐらいの成績が取れると思います。
(大学生の成績評価が、「優」・「良」・「可」・「不可」または「A」・「B」・「C」・「D」として)。



就職活動をされている学生さんや若手ビジネスパーソンのみなさんへ




なんとなく、マクロ経済学の必要性や、世の中の仕組みに対する疑問を、
感じていらっしゃるかもしれません。その感覚は、なかなかすばらしいものだと思います



「まえがき」と「第1章マネーは踊り続ける」をお読みになれば、
その感覚が、さらに研ぎ澄まされるでしょう。



第1章には、数年前の話ですが、「ライブドア粉飾決算問題」
「村上ファンド事件」についての経緯が、説明されています。



ひょっとしたら、これらの出来事を遠い世界ことのように、思われていたかもしれません。
ですが本書は、それらを身近な就職問題や職場の問題に、感じさせてくれます。



学生でも若手のビジネス・パーソンでもない方へ




それでも、「全文読むほどの時間はない」とおっしゃる方も、いらっしゃるでしょう。
「まえがき」と「第5章もう代案はありません」だけでも、読むことをオススメします。


  • 解雇規制
  • 賦課方式の公的年金
  • 自由貿易
  • 社会を豊かにさせる方法
  • 教育


などなど、「これでもか!」というぐらい、「教科書にそった」処方箋が、述べられています。
興味のあるところを、「つまみぐい」するだけで、今見えてる世界が変わるでしょう。
ちなみに管理人は、本書に触発されて【参考文献】であげた本に挑戦中です。




【関連エントリ】


ミクロ経済学 1 市場の失敗と政府の失敗への対策
デフレの真犯人 脱ROE〔株主資本利益率〕革命で甦る日本
外資系金融の終わり―年収5000万円トレーダーの悩ましき日々



【参考文献】


カーメン・M・ラインハート ケネス・S・ロゴフ
国家は破綻する――金融危機の800年国家は破綻する――金融危機の800年 日経BP社


国家は破綻する――金融危機の800年




2013年1月19日土曜日

年収100万円の豊かな節約術

経済学「お墨付き」の節約レシピ



年収100万円の豊かな節約術



先日、BSで「武士の家計簿」という映画が、放映されていました。
そこそこ良い暮らしをしていたはずの、あるソロバン侍の家が、
実は「火の車」で、お家芸の「ソロバン」で、家計を立て直していくという、実話に基づいたお話です。



主人公の加賀藩士・猪山直之(堺雅人さん)の、妻であるお駒(仲間由紀恵さん)は、
嫁いでわずか数年で、自身の嫁入り道具までも、売り払う羽目になりましたが、
傾いた家計を目の前にしても、決してめげません。


「『貧乏』だと思えば暗くなりますが、『工夫』だと思えば、日々の生活が楽しくなります」。


まさに、このお駒のセリフが、ぴったり来るのが、本書です。




ソロバン

商い資料館 / adelie33_Asako




マクロ経済学における貨幣の流通方程式




マクロ経済学で貨幣や銀行制度について学習をしていると、
「貨幣の流通方程式」という考え方を学びます。数式の内容は次の通りです。



  • (名目)GDP = 貨幣量 × 貨幣の流通速度 


要は、(名目)GDPを増やす(景気を向上させる)ためには、
貨幣量を増やすか、貨幣の流通速度を速める(おカネの回転率)
高めるしかないことを表します。



ミクロ経済学における収益性分析




ミクロ経済学の一分野として、企業の財務分析というものがあります。
その名のとおり、会社の財政状態を分析する分野です。その分析手法のひとつに
「収益性分析」というものがあり、資本金に対してどれぐらいの利益を稼いだかを表す、
「資本利益率」という指標があります。


  • 資本利益率 = 売上高利益率(利益/売上高)× 資本回転率(売上高/資本)


つまり、収益性をあげるをあげるためには、利益の絶対額を大きくするか、
元手(資本)を何度も回転させるしかない、ということを表しています。



キーワードは「回転率」



  • 「武士の家計簿」に出てくる猪山家の人々
  • マクロ経済学における貨幣の流通方程式
  • ミクロ経済学における収益性分析


これらが、キーワードは、「回転率」です。本書によると、
著者の年収は、タイトル通り、どこをどう逆立ちしても100万円しかないそうです。
(もっともそのラインで、「止めている」という表現でも良さそうですが)。



従って、著者は「生活の知恵」をフル回転され、
「知恵のカタログ」として本書をとらえることができると思います。



ちなみに、知恵の使い回しはしても、日々の料理メニューについては、
使い回しをしていないそうです(P62)。「これで1日3食500円以内?」
という「夢のメニュー」が、多数掲載されていますので、
節約レシピ本として使えるかもしれません(笑)



※ソロバン侍→今ふうに言えば、経理・財務畑のサラリーマン。もしくは軍隊の主計兵・主計士官



【関連エントリ】


ニートの歩き方 ――お金がなくても楽しく暮らすためのインターネット活用法