2012年12月27日木曜日

年金問題は解決できる! 積立方式移行による抜本改革その1

計算式でわかるカンタン年金問題



年金問題は解決できる! 積立方式に以降による抜本改革




日頃、公的年金関連のニュースを見ていると、
「そもそも年金(給付)はどのようなシステムで支払われているか」
という視点が少ないように感じます。
まず、最初にカンタンな計算式を使って、公的年金について解説していきしょう。



ポイントは、「誰かの収入は、誰かの支出である」ということです。
この単純な事実をおさえておけば、非常に分かりやすいものです。

"我が国の年金制度では、若いころ支払った保険料は、自分の口座に蓄えられることなく、支払った瞬間にパッと煙のごとく消えてしまっています。どこに消えたかといえば、政治家や官僚たちがムダ遣いをして消えた分もありますが、大半は、その時の老人に年金を支払うために使われてしまったのです。認めがたいことかもしれませんが、これが現実です"

(P92 「第4章諸悪の根源はどこにあるか?」)






赤ちゃん

両手におもちゃを持って遊ぶとらちゃん / yto





公的年金を理解したい人のためのやさしい計算式 その1





上の引用のように現在の公的年金制度は、働いた人が納めた保険料をそのまま
年金の受給者に渡す制度なので、現在の年金(給付)は以下の(1)式によって成立します。
(いわゆる「賦課方式」の年金制度)


  • 現在の年金(給付)(A)= 賃金(B) × 保険料率(C) -(1)

本書で述べられている内容にもとづいて、(1)式の現状を左辺から解説していきましょう。


  • 現在の年金(給付)(A)

物価が下落していても年金(給付)の名目金額は据え置き(P51)


  • 賃金(B)

上昇率はマイナス(過去10年間の名目賃金上昇率は‐0.7%)(P38)

  • 保険料率(C) 

一定水準まで段階的な引き上げを行ったあと固定
(毎年0.354%ずつ引き上げて2017年に18.3%で固定)(P54)



つまり(1)式は、左辺の価値が大きい状態が続いているにも関わらず、
右辺の価値は、どんどん下がっているということを表しています。
実は、左右でイコールにはなっていないところがミソです。




公的年金を理解したい人のためのやさしい計算式 その2





しかし、左右でイコールにならないと、現行の公的年金制度が、成立しませんので、
現実的には(1)式は、次の(2)式のように修正されます。



右辺に、積立金(の取崩し)と税金が投入されます。
(いわゆる「修正賦課方式」「修正積立方式」の年金制度)


  • (修正版)現在の年金(給付)(A)'= 賃金(B) × 保険料率(C) + 積立金(の取崩し) (D)+ 税金(E)

  • 積立金(D)

800兆円の積立金(引当)不足
(すでに支払うと約束した年金債務950兆円と積立金残額150兆円の差額)(P123)


  • 税金(主に消費税)(E)

国民年金給付の、おおむね半額に相当する額を、すでに織り込み済み



現行の公的年金制度では、右辺の第1項のみでは、
左辺とのつり合いが取れないため、政府は、第2項と第3項を用意しています。



しかし積立金は、「過去のダメージ」を引きずって傷ついています。
今回のブログは、現在の状況についてのみ言及しましたが、
さらに大きな問題が、将来にわたって続くというところです。
(つづく)




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