2012年11月22日木曜日

人口論

18世紀版「北斗の拳」!




人口論



本書の最初に著者の、「過激な」主張が述べられています。



"わたくしは、二つの公準をもってさしつかえないであろうと考える。
第一、食糧は人間の生存にとって必要であること。
第二、両性間の情念は必然であり、ほぼ現在の状態のままでありつづけると思われること。"

(P22)


この文章を意訳すると、こういうことになります。


私は、二つの原理を主張する。
一つは、人間には食べていかなければならない。
二つは、男女間の性欲は当然で、未来に向かってなくならない。



マルサスはこの主張に続いて、人口は、2乗、3乗、4乗といった具合に、
「累乗的」に増加するということを、述べています。



一方で、人間に必要な食料は、耕地などが限られているため、2倍、3倍、4倍など
「倍数的」にしか増加しないと、マルサスは考えています。



仮想実験として、無人島に男女一組のペアを送り込んで、
300年の間、様子を見ると、人口対食糧の比率は、なんと4096対13になるそうです(P30)





58190027 / Mark Yang




これらの考察から、18世紀・イギリスの経済学者である、ロバート・マルサスは、


  1. 人口は食糧に対して常に過剰であろうとする
  2. 戦争や疫病などが起きたときに人口抑制が行われる
  3. 人間は常に飢餓スレスレの貧困状態で暮らすのが当たり前


という、「北斗の拳」を彷彿とさせる、すさまじい結論を出しました。
しかし、実際この結論については、「半分ハズレ」で「半分あたり」というところが、
現代経済学における評価です。




「なぜそんなことが言えるのか?」と疑問にお持ちの方は、
兄弟ブログの、おちゃらけミクロ経済学の、限界収穫逓減の法則シリーズまでどうぞ!



ちなみに、参考文献で紹介している人月の神話人月の神話 でも、
マルサスが唱えた食糧危機問題との共通点について、
コンピュータのソフトウェア開発の世界において論じられています。




【参考文献】



フレデリック・P・ブルックス,Jr人月の神話人月の神話





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