2012年11月10日土曜日

世界の99%を貧困にする経済


「これからの正義の話をしよう」に近い本



世界の99%を貧困にする経済


経済学では、売りと買いの取引利益の有効性を、認めているものの、市場はよく「失敗」します。
その「市場の失敗」を正すと期待される政府も、実はよく「失敗」します



本書で、頻繁に登場する「レントシーキング(割当)」は、
超過利潤を発生させるため、1%に代表される政府及び一部既得権益者と、
99%のふつうの市民との間に、巨大な格差を発生させます。




それでは、何を信じれば良いのか、という話になりますが、
著者のスティグリッツは、市場と政府の他に、「市民社会」という第三の概念を登場させています。





いちのせき市民フェスタ

いちのせき市民フェスタ / center-i





そして、富を公平に再配分するために、三者の力が、均衡させることを提唱しています。
それらの「バランス関係」を信じてください、というのが、スティグリッツさんの主張です。
(かつて、魏・呉・蜀の「天下三分の計」を唱えた、諸葛亮孔明みたいですね~)




政治的な立場として考えるならば、「中道左派」というのでしょう。
おそらく、これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学< で、
有名なハーバード大学のマイケル・サンデル教授と、考え方が似ていると思います。




本書は、経済学の中でも「規範経済学」というジャンルに属し、
文章中でも、「経済学とはかくあるべし」という雰囲気が漂ってきます。
「規範経済学」は、計量経済学などとは、違う意味でとても難しいジャンルだと思います)



もし、中立的な思考様式を身につけたいと思う人は、
ロン・ポールの他人のカネで生きているアメリカ人に告ぐ ―リバータリアン政治宣言―他人のカネで生きているアメリカ人に告ぐ ―リバータリアン政治宣言― を読んで、
頭の中を中和させてください。ロン・ポールは、いわゆる「右派」だと思います。
本書とは、対称的な考え方をしています。




個別の内容で、気に入ったのは、「積極的労働政策」(P401)という点です。
労働政策といっても、ここでは、失業給付の期間延長や、
雇用継続のための企業助成金については、ひと言も触れていません。



"教育と技術に莫大な投資を行う必要がある"



ということだそうです。これは、政治的な立場と言うよりも、お国柄というところでしょうか(笑)



ちなみに「レントシーキング」について詳しく知りたい方は、コチラまで
貿易における輸入割当も、「レントシーキング」の一種です。



参考文献:



マイケル・サンデル これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学<


これからの「正義」の話をしよう


ロン・ポール 他人のカネで生きているアメリカ人に告ぐ ―リバータリアン政治宣言―他人のカネで生きているアメリカ人に告ぐ ―リバータリアン政治宣言―




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